ひとつひとつを他のストーリーと切り離して読んでも、それぞれがひとつの短編として完結していると言ってもいいけれど、全体的にはつながったひとつのストーリーになっている。
あとがきの永井旦さんが書いているように、ところどころに月が密かにそして巧みに登場する。 できあがった物語は、ただ虚空に浮かぶ月のようなものにすぎず、現実離れした物語の中で主人公がその月を見上げて会話をするというあとがきを読みながら、私はオノ・ヨーコさんが『グレープフルーツ・ジュース』という本の中に書いてあったことを思い出していた。 「盗みなさい。 水に映った月を、バケツで。 盗みつづけなさい。 水の上に月が見えなくなるまで。」 月が架空の物語だとすると水に映った月は何だろうか。 現実の水面に映る月。私という「現実」、手ではとらえることのできない心という空にぽっかりと浮かんだ月。そして明鏡止水であるならば、くっきりとした月が映るだろう。 「物語」は私の心の中で咀嚼され脳細胞の隅々まで浸透して、いつしか自分の一部になる。 それはそうと、『そして最後にマヨネーズ』というストーリーの中に出てくる女性が様々なお菓子や瓶詰めを買うシーンがあるのだが、まるで自分のことのようで苦笑してしまった。 食べるためではなく、気にいったから買ってみるという行動によって、いまだに食品庫にそのままになっている缶詰や瓶詰めがいくつかある。 でも、それはオブジェなのだから、よしとしよう。 『趣味の腕立て伏せ』 田中優二 赤木舞子 原田 杉浦加代子 野村五郎 ミリュリエル・ボワサルド(エル) クレッセント・ドラゴンワゴン(アラパホ・インディアンの血をひいている) ワインレッドのシトロエンCX25GT1 食前の酒 莢ごとゆでたエンドウ豆 赤ワイン 前菜の次の料理に効果的に使われている人参 コーヒー シンシナティー・レッズのTシャツ 「ブルーの色調が、気持ちに合わせて変化するのです。私の場合は、その変化が特に目につきやすいのです。ごく淡いブルーから、とても濃くて黒に見えてしまいそうなダーク・ブルーまで、いろんな色調があります。気持ちの変化に呼応して、瞳のブルーの色調が変化します」 「夢を見ているような気持ちのときは、もっとも淡いブルーです。そして、きわめて現実的な気持ちのときは、黒に見えるようなダーク・ブルーになります」 「どんな問題を論じるにしても、自分が持っている人生観や社会観の、無意識の投影になるようなことを人は避けることが出来ません。しかし、そのことをよく自覚していれば、そのような投影だけで問題を見てしまうという失敗は、避けることができると私は思います」 人参が登場するドイツ語の絵本 冬に空から降ってくる雪の結晶は、じつは月を削って出来るものなのだ、という物語の絵本 腕立て伏せ ヒンズー・スクワット 『そして最後にマヨネーズ』 高見沢麻美 野村五郎 紅茶 マヨネーズ ビール フィンランド製のゼリー菓子 ベルギー製のウェイファーズ ノルウェー製のチョコレート・バー フィンランド製のキャンディーを二種類(ハニー・レモンとメントール・ユーカリプタス) ショートブレット・ペティコート・テイルズというイギリス製のクッキー ハワイのコナ・コーヒー・キャンディー 八○○グラムの缶入りのオートミール アイルランド製のひき割カラスムギ(アイリッシュ・ポリッジ) フランス製のクッキー オレゴン州で採れたサクランボ(ダーク・スィート・チェリー)の缶詰め ガーリック・バター ミート・ソースの瓶詰め バジリコ・ソース カナダ製のメープル・シロップ アメリカのヘインというブランドのマヨネーズ ネストール・アルメンドロス リチャード・プローティガンの『アメリカの鱒釣り』『ソンブレロ・フォールアウト』 インド製の木綿のテーブル・クロス アイヴォリーの液体石鹸 ボール紙の箱に入ったアメリカ製のペーパー・タオル オリーヴ色の木綿のショート・パンツ 三十センチ四方ほどの、正方形のクッション イタリー製のパーティー用の赤いプラスティック製の玩具のピストル メイド・イン・ホンコンのピストル フィンランド製の黒に見えるようなダーク・ブルーでVネックの長袖のコットンのセーター 淡いグリーンの格子模様の小さなタオル 木綿の長袖のラグビー・ジャージー ガラスの平凡な容器 アメリカ製のティシューのポケット・パックを十二個 アメリカの『エスクァイア』の七月号の売れ残り スカート 「強い陽射しに直射されることによって、マイナスの要因のようなものが、少女の心からすべて蒸発してしまっている」 『ソノマの重い赤』 野村五郎 柏原由紀子 中尾敬子 エスプレッソ カリフォルニアの重い赤ワイン 食前酒のつもりの一杯の酒 『甘く優しい短篇小説』 近藤美貴子 野村五郎 葉山友美 コーヒー 鍋 イギリスの上等のラム ノン・アルコールのビール ルーム・サーヴィスの朝食 ジョルジュ・ドリュリュー 『三日月と会話する』 野村五郎 遠藤節子 ミネラル・ウォーター 『いちばんつらい人』 シトロエンCX25GT1 マーセイデス560SEC
by space_tsuu
| 2009-06-05 00:00
| 青い背表紙
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