ハーレーの影は私

ほんの数ヶ月前は30度もあったのに、今日の温度計のデジタルはマイナスだ。
かたわらにある熱いブラックコーヒーが、のどもとを過ぎていくのを感じながら
彼女はパソコンの中にある写真のサイズを調整しながら整理をしていた。
あたたかな部屋の中から雪が降るのをながめるぶんには、まったく問題ないし、四季の移り変わりを楽しめるが、基本的には彼女は夏のひとなのだ。

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いつか読んだ小説のストーリーのように、真冬に南の島へ飛び、滞在するホテルのプールに飛び込んでみたいという衝動がふつふつとわいてくるのだが、まだそれは実行に移してはいない。
今年あたり行ってみようかと思いながら、また真冬は春の光へと少しづつ変化し始めた。
そんなことを思いながらパソコンの中の写真をクリックしていると、オートバイとそれを撮っている自分の影の写真があらわれた。
去年の秋が始まろうとしていた頃に、走って2時間ほどのところにある山へツーリングに行った時のものだ。
さぁこれから走るぞという気持ちを内部に持ちつつ、彼女はハーレーと自分の影を四角く切り取ってみた。
写真をながめていたら、背中にその時の太陽の暖かみを一瞬だが感じたように思えた。
しばらくその一枚を観察していると、なぜだかこの影は自分自身の影ではなく、ハーレーの影のように思えてきた。
ハーレーの影は私なのだと思ったら、また無性にどこかへ走りに行きたくなってきた。
そして窓の外の吹雪を見ながら苦笑した。
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by space_tsuu | 2013-02-22 00:00 | 私の心とその周辺
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