敍情組曲

「十五年まえ、彼女と彼はおなじ高校で机を前後にならべていた。そのときはなにごともなかったのに、再会したとたんに物語がはじまった。その物語を支える彼女の論理は、彼女の心そのまま。そしてそれを彼は全面的に支持する。再会の春さきから夏の終わりまで、かさなりあうエピソードはふたりで作る組曲」

これは扉の文章だ。
そして、進んでいくストーリーの中で、彼女はこう言う。
「実験をしてみる、と言えばいいかしら。あなたとの恋愛の純度の高さを、いまの高さに維持したまま、十年、二十年と生きてみる、という実験」

b0127073_1413092.jpg


片岡さんは、『きみを愛するトースト』の『「恋」というひと文字をじっと見る』という文章の中で、「恋は、ボードゲームだ。しかし、ボード・ゲームは終りがあるからはじめることも出来る、架空の世界だが、現実の恋を終りのあるゲームにしてしまうのは、ちょっと能がなさすぎるのではないだろうか。ボード・ゲームの恋は終ってもいいけれど、実際の恋は終らないほうがいいと、ぼくは思う。終ることのない、恋というゲーム。
これからはこれだと、ぼくは直感している。終りのない、恋というゲーム。つまり、高まったふたりの気持ちである、この恋というゲームを、いつまでも終らせずに維持させていく方法、ないしは工夫。これをぼくは考え、実行してみようと思っている。」
と書いている。

『敍情組曲』は、これをストーリーにしてみたのではないだろうか。これから始まろうとしている魅力的でスリリングなボード・ゲームの前哨戦だ。
片岡さん自身は実行してみたのだろうか。それとも実験している最中だろうか。



仁科尚美
黒川和彦
中村江利子(太宰江利子)
青野七海
大島大次郎
大島大介
大島大太郎
近藤真知子(仁科真知子)
中津川弓矢

エスプレッソ
小さな瓶のビール
コヒー
夕食前の酒
夕食
食事のあとの酒
シングルモルトの一二年もののスコッチ

国産のステーション・ワゴン
ジャガー
ファミリー・セダン
[PR]
by space_tsuu | 2006-03-05 00:00 | 赤い背表紙(中編)
<< 上り坂の地平線 私の空の心象画 >>