雲の楽しみ方の一例

「お座席は窓側と通路側、どちらになさいますか?」
「窓側でお願いします」
飛行機では必ずといっていいほど私は窓側に座る。
そして、飛行機が離陸し、今いた場所がどんどん小さくなっていく様子をながめる。
飛行機の窓から見えていた大きな建物や車が、加速度を増していく遠近法の中で自分より小さくなっていくのをずっと観察する。機内では客室乗務員がいつもどおりに酸素マスクの説明をしている声が、ラジオから聞こえる音のように遠くに聞こえている。
それでも私は窓の外を見続ける。

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縦横無尽に伸びる道路を車が走っているのが見える。
ゴルフ場の18ホールが、まるで絵のように綺麗だ。フェアウェイやグリーンにいる人たちは、瞬く間にゴマより小さくなっていく。車を運転している人やゴルフを楽しんでいる人たちは、私に遥か上空から観察されていることは知るよしもないのだと思うと、微笑がこぼれる。

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突然、煙にまかれたように今まで見えていたものが見えなくなる。見えなくなると同時に雲の中に入ったのだと気づく。私は少しの間、雲という水蒸気の集まりを観察する。すると場面が切りかわるように雲の絨毯を見ることになる。私はいつもこの絨毯の上におりたくなる。ふわふわの絨毯の上に両手を広げて飛行機から飛び出したい衝動にかられる。
先日見た雲の絨毯の上にはさらに雲の天井があり、飛行機が高度を増すにつれてその雲の天井も突き抜け、新たな雲の絨毯を見ることができた。
しばらくその雲をながめて満足した私は、着陸する時のさっきとは逆の遠近法を楽しむまで機内誌を取り出して読みはじめる。  

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by space_tsuu | 2006-05-08 00:00 | 私の心とその周辺
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