yours

ラハイナのフロント・ストリートを、カアナパリの方向に向けてほんのすこしいったところにあった、『イーザ・オア』というブックストアで行われた詩の朗読会に行ったことが、このyoursを書いたことにつながっているようだ。

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「自分ではいっさいなにも作ることなく、ただそのへんに散らばっている言葉を集めて来るだけで、いまのような詩が誰にでも作れるのです」と、その朗読会で詩を披露した四十代前半の男性は言ったそうだ。見なれた陳腐きわまりない言葉の数々でも、彼によって組み立て替えられると、誰もが神妙な気持ちにさせられたり、爆笑の渦を作り出したりできるのだということを体験したそうだ。
そうは言っても、片岡さんの、このyoursのような詩は、そうそう誰にでも簡単に作れるというものではない。どのような言葉をさがし出すのか、さらに、ピックアップしてきた言葉たちをどんな具合に組み合わせるのかということにも、人それぞれのセンスがあると思う。ある冬の日、片岡さんは駅の売店に並んでいるすべての女性雑誌を買った。けれども、それらのどれにも片岡さんが探していた魅力的な言葉は見つからなかった。あったのはもはや完全に心を捨てた人たちの言葉だった。そして心のないところには詩人は必要ないと書いている。現代に生きる私達は日々多忙な毎日を送っている人がほとんどだ。忙しいという字も、心を亡くすと書く。時にはふと、心を取り戻すために、あるいは心を保つために、このyoursを開きたい。私自身も、時には自分自身で、心ある言葉を探す作業をしたいと思う。

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中に添えられた中道順詩さんの写真の数々も、とても気に入っている。キャンディーを食べる時は必ずといっていいほど、ふと気の毒そうにこちらを見ているキャンディーの写真を思い出す。

余談になるが、朗読会で飲んだ「上出来のシャンペインを、マウイのトマトをしぼって作ったトマト・ジュースで割った飲み物」というのも、一度でいいから飲んでみたい。自分で作れるなら作ってみたいが、上出来のシャンペインをなんとかして手に入れたとしても、マウイのトマトがなければ無理だろう。

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by space_tsuu | 2005-05-19 00:00 | 赤い背表紙(詩集)
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