アップル・サイダーと彼女

この本は片岡さんそのものだ、と言っていいだろう。あとがきで本人がまぎれもなくぼくであり、ぼくがぼくであることの結果や証明のごちゃまぜであると言っているから、そうなのだろう。あとがきが一九七九年十月とあるので、その時までの片岡さん自身だということになる。
朝の八時から午後の四時すぎまで空の雲をながめてすごし、午後が夕方に変わっていこうとしている時間にこの「あとがき」を書いたそうだ。
「あとがき」というふうになつているけれども、私にとっては、「あとがき」という名のエッセイのひとつに思えるぐらいだ。

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この中に書かれている話はどれも素晴しい。どれも感銘をうける。どれかをひとつあげてくださいと言われても困るので、トランプのカードを一枚抜くようにページを開き、ひとつだけ選んでみた。
そのページは「コンドルは滑空していく」というタイトルだった。
『ぼくはコンドルという鳥に、すこし興味を持ってしまった。』という出だしで始まるエッセイなのだが、これを読んでしまうと、「私はコンドルという鳥に、ひじょうに興味を持ってしまった。」と言わざるをえないくらい引き込まれてしまう。
去年たまたまアマチュアのフォルクローレを聴いたのだが、その時に演奏で使っていたケーナはコンドルの主翼の骨で作られていたのだと今さらながらに気づいた。私は「コンドルは飛んで行く」という曲が心が揺さぶられるくらい大好きで、いつも聴くたびにぼうぜんとなるくらいなのに迂闊だった。自分の迂闊さを少しでも取り戻すために、数百万年も昔からすこしも変化していないというコンドルの骨でできたケーナを吹いてみたいという衝動がわきおこってしまった。



オートミールの朝食
トーストにベーコン・アンド・エッグス、そして紅茶
彼女の部屋に文庫本
少年とラジオ
少年たちの共和国
少年食物誌
深まりゆく秋です
4サイクル・ツイン
オートバイはぼくの先生
真夜中のオートバイ
深夜の地獄めぐり
トリップ・カウンター・ブルースだってよ
故郷へ帰りたい
あの夜はホワイト・クリスマス
雨と霧と雲と
悲しき雨音
都会の夕暮れ
ミスタ・ロンリー
ノートブック
タイニー・バブルス
ハワイのいなり寿司
ブルー・ハワイ
チャタヌーガ・チューチュー
マリーン・スポーツ
英語の歌が聞こえてくる
おそすぎたラブレター
ぼくの椰子の樹
コンドルは滑空していく
二本の映画と一杯のコーヒー
カモナ・マイ・ハウス
アメリカの小さな町
カウボーイ・ブーツ
ロードサイド・ダイナー
アイダホ州のジャガイモ
ラスト・アメリカン・カウボーイ
これが天使の町だって?
ピックアップ・トラックの思い出
ぼくの好きな大空間
フロリダ・キーズとUSハイウェイ1号線
18輪ジプシー
長距離トラックと雨風
ギアを8段に落とし町の少年たちの野球を
双眼鏡で見ながら西へ
アップル・サイダーと彼女
他人の虹
暗殺者のライフル
オーディー・マーフィーというアメリカ人
ジャニス、たしかに人生はこんなものなんだ
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by space_tsuu | 2005-04-27 00:00 | 赤い背表紙(エッセイ)
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