タイプライターの追憶

写真を撮ることが昔から好きだった。
今思い返せば、写真に興味を持った最初の記憶として幾度も呼び起こされるのは、
画面の中に六角形の光が数珠つなぎになったような写真を撮ってみたいと思ったことだ。
中学か高校くらいの時に父のカメラを借りて、何度か試しに撮ってみたりしたがうまくいかなった。
写真部に入ろうかなどとも考えたこともあったが、実行に移さなかった。

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大人になってからは、ただ気のむくままに、なんの知識もないまま適当にその時に気にいったカメラを買ったり、水中カメラを買ったりしたこともあった。
ある日、インターネットの中で、不思議な写真を見つけた。
真ん中が丸く明るく外側の四すみに向かってだんだん暗くなっていく写真だ。
なんだこの写真はという興味からいろいろ調べてみると、ロモというトイカメラの存在を知った。
ロモを買えば私もこんな素敵な、雰囲気のいい写真を撮れるに違いないと思った。
そして買ってみて、写真の出来映えを見て愕然としてしまった。
現像してできあがってきた写真はどれも大失敗だらけだった。
その頃から、ますます写真に興味を持ち始めて今にいたるのだが、ふとある日、「タイプライターの追憶」をぺらぺらとながめて、ものすごく驚いてしまった。

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大好きなこの本をめくればめくるほど、この中の写真たちが私の中にいかに影響を与えているのかを発見することができる。
フェリーの上で撮った写真、ホテルの一室でのベッドの構図、ベッドのわきに置かれた電話、テーブルに置かれたキー、街灯の様子。
私が撮った写真と構図がほとんど同じだ。
知らず知らずのうちに、私の中に蓄積されつつあった構図たちは、この本の中にあった。
何度ながめても、いい。そうだ、私はこういう写真が撮りたいのだとしみじみ思う。
また写真を撮りにどこかに旅に出たい。




紅茶
パスタとサラダ
コーヒー


ステーション・ワゴン

ジュラルミンのアタシェ・ケース
2Hの鉛筆

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「カーテン」
1 冬の朝

2 春の風
三八ミリのレンズをつけたSLRカメラ
コーヒー

3 夏の月
モノクロームによる昔のフランス映画

4 秋の雨
ハーブ・ティー

「バイパスの入り口で夜遅く」

河島健太郎
恭子
中村瑞子

コーヒー

4WDのワゴン
米軍のフィールド・コート

「風のなかの一瞬」

高見沢純子
佐藤
佐原

クーペ
オートバイ

コーヒー

クロノグラフの黒い文字盤に夜光の数字と針とがくっきりと見える腕時計
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by space_tsuu | 2011-03-10 00:00 | 赤い背表紙(中編)
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