寝顔やさしく

いつものように、扉の文章を抜粋してみた。

「自分がもっとも自分らしくある時間は、じつは寝顔の時間なのです。
眠っているときの自分の寝顔をあるひとりの男性が見て、彼女の寝顔は
こんなにやさしかったのかと認識をあらたにしてくれるのは、なにも
知らずに眠っているとはいえ、気分のいいことです。気分のいい状況を
うまくつくるのは、しかし、むずかしいようです。」

違う言い方をするなら、自分がもっとも自分らしくある時間というものは、自分自身では
気づけないものなのではないか。
自分が自分で自分らしいと思っていることは、実は、周囲の人にしてみれば
全く違っているのかもしれない。
たとえて言えば、自分の録音された声を初めて聞いた時のように。

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『彼を愛してなにを得たか』というストーリーを要約してみる。

春に知り合って、夏、秋、冬と体験して、ふたたび春がやってきた。
ここからさきはくりかえしになるから別れようという彼に猛烈なスピードで
平手打ちをくらわせて別れた彼女は、好きなだけ泣いてすっきりした後、
彼を愛してなにを得ただろうかと考える。

私も彼女と似ているかもしれない。
人生に無駄なことは何ひとつないと思うから、単なる損得勘定ではなしに、
きっと何かを得ているはずなのだ、と思いたい。



『彼女が持つにふさわしい』

ケイコ
矢野(清水)由紀子
西島恵理子
矢野弘太郎

コーヒー
エスプレッソ
オレンジ・ピールの入ったクッキー
ドランビュイとスコッチとを等量に氷の上にかけたもの
白ワインをソーダで割ったもの
クラシックな雰囲気のあるカクテル・グラスのなかの上出来のドライ・マティニ
ウォッカ

『寝顔やさしく』

中村美保子
清水邦雄

コーヒー
ブラックカラントの香りがきわめて巧みにくぐりこませてあるチャイナとインディアの
微妙なブレンディングの紅茶
透明な強い酒
イタリア料理
エスプレッソ

シェトランドのセーター
白いオックスフォード地のボタンダウンのセーター
コーデュロイ・ジーンズ
ツイードのジャケット
バーバリーのウオーキング・コート
皮のブルゾン

オーヴァーナイター・バッグ
もっとも女っぽくない香りの淡いブルーのコロン

クーペ

『100%コットン』

恵子
直子

紅茶
コーヒー

ペパミント・グリーンのサンダル

オープンカー

『サマータイム・ブルー』

クローム・メッキの部分がオレンジ色に染まった750ccの4気筒エンジン、車重が240キロ
2サイクルの三台のオートバイ

氷メロン

『シャツのボタンが段ちがい』

野沢紀美子
池上麻衣子

ステーション・ワゴン

外国のビールの瓶

『一生に一度かしら』

北村
中島節子(灯美子)
武田

サンドイッチ
クローネンブルグ
キッシュ
アップル・サイダーをビールに半々に混ぜたもの

BMWのオートバイ用の皮ジャンパー
褐色の皮製のアタシェ・ケース

『彼を愛してなにを得たか』

枝理子
河合浩平

真紅の皮を巻いたステアリング・ハンドルのフルタイム4WDのクーペ

ハートマンのソフト・ケース

緑茶
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by space_tsuu | 2004-10-21 00:00 | 赤い背表紙(短編)
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