嘘はほんのり赤い

あとがきにあるように、この短編集はブレンドコーヒーのようだと思って読むと面白いはずだ。

「コーヒーの豆を微妙にブレンドするみたいに、そのコーヒーを飲んだ感じが、読みおえたときの感じと重なるといいですね」と片岡さんは言っている。
ブレンドコーヒーを飲みながら、この小説を読んでみようか。
きっと、記憶の中にふたつの感覚が重なってさらに味わい深いものになるかもしれない。
ブレンドコーヒーを飲むたびに、この小説を思い出す、あるいはその逆とか。

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「あれは嘘だわ。嘘だったのね」と彼女は言う。もちろん、嘘さ。「まっ赤な嘘だったのね」あの程度の嘘を、まっ赤と言われても、ぼくは困るんだ。ほんのり赤いだけだよ。ほんのり赤ければ、どんな嘘も楽しい。彼女だって、ぼくを責めながら、素敵な笑顔でいるではないか。

これは扉の文章だ。
ほんのり赤い嘘か。嘘はいつだってほんのり赤い程度にしておいたほうがいい。熟しすぎてまっ赤っかになった嘘は、とりかえしがつかない。そうなったら捨てればいい果物とは違って、まっ赤すぎる嘘はいつまでも永遠に残ってしまう。
誰か嘘をつく相手の笑顔を想像しながら、ほんのり赤い嘘を考えてみよう。

表紙の写真を撮る時に、白熱灯を照らして白い部分をほんのり赤くしてみた。




『夜のまま終わる映画』

恵利子
中村

ステーション・ワゴン
セダン
平凡だけどもよく見ると流麗なラインのクーペ

『泣くには明るすぎる』

鈴木恵子
野村
長谷川
麻里子
山下秋子
高橋由起子

出前のコーヒー

『正直で可憐な妻』

野崎(渡部)優子
村田裕介
新田恵利子
坂本

ペリエ
ドライ・ジンのロックス
スコッチ

コーヒー

きれいなワイン・レッドの皮表紙のついたバインダー式の手帳
(バインダーの金具は金色で、ごく淡いグレーの地に色調のすこしだけ
異なるグレーで印刷した方眼のページがうしろのほうにある。
手帳のループには細いメカニカル・ペンシルが差してある)

『かたわらで泣いた』

高橋美津子

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三原昭彦
後藤幸子
榊原文雄
島崎雪子

ノートン・コマンド
遠目には黒に見える深いダーク・ブルーに塗装した部分以外は
すべてクロームの静かな輝きをはなつ650ccの単気筒
トライアンフ

白いデミタスに入ったコーヒー
お茶
いちご
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サンドマン

『私と寝て』

空冷4ストローク、652ccのオートバイ

トースト
ハム
ビール
コーヒー
トマト・サラダ

『嘘はやめよう』

松崎麗子
上村真知子
三枝須美子

DOHCの4ヴァルヴ、652ccのシングル・シリンダーの4サイクルのオートバイ

コーヒー

『嘘はほんのり赤い』

松田健司
清水優一
青山有美子

コーヒー
エスプレッソ

OHCの4ヴァルヴで空冷4サイクルのオートバイ
(ボアとストロークは、それぞれ96.0と84.0。
6500回転で42馬力の最高出力、最大のトルクは6000回転で出てくる)

『雨の降る駐車場にて』

平野美保子
浩之
美代子
山下
酒田
木村

フル・サイズのステーション・ワゴン

林檎
濃いめのコーヒー
ベーコンの使い方が巧みな、したがってぜんたいが
よくひきしまった味と感触の卵サンドイッチ
グリーン・ピーズの残りを温めたもの
絞ったばかりのオレンジ・ジュース
アヴォカード

エドヴァルド・グリーグの抒情小曲集
(エミール・ギレリスがピアノを弾いている
-タイトル- サイドA
アリエッタ。子守唄。蝶々。孤独なさすらい人。
音楽帳。メロディー。ノルウェーの踊り。夜想曲。スケルツォ。郷愁。 サイドB
小川。家路。バラード風に。おばあさんのメヌエット。
あなたのおそばに。ゆりかごの歌。昔々。パック。過去。余韻。)
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by space_tsuu | 2008-05-20 00:00 | 赤い背表紙(短編)
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