誰もがいま淋しい

中の文字がブラウンで印刷されているところが、とても気に入っている。
あとがきによると、この小説は1984年の5月から夏の終りにかけて
「野性時代」「月刊カドカワ」「小説王」の三つの月刊雑誌に書いた
短い六つの小説を、ひとつの流れにつなげて、六つが集まって
ぜんたいをかたちづくるという構成にしたそうだ。

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六編のストーリーの間には、その時に確実にあった背景である季節や気候
の詳細を説明した文章が織り込まれている。
そして、1984年の5月といえば、ちょうど20年前の今頃の時期ではないか。

この小説の中に登場する彼女たちは、淋しさを単なる淋しさとしてとらえていない。
逆に淋しさを楽しんでいるかのように思える。



----------『雨の交差点ブルース』


彼女

きわめて淡い黄色の全長230.5インチの2ドア
ボーイング737

ジュラルミン製のアタッシェ・ケース

バター・スコッチ
コーヒー

----------『ビートルズが来た雨の日』

小島理代子
小島三郎
西村弘子
西村幸雄

ステーション・ワゴン
3000ccのセダン

サンドイッチ
(トーストしてアップル・バターをつけた固めのフランス・パンを
いちばん底に敷き、その上にローストした七面鳥のスライスや
溶かしたチーズ、ハムなどが盛大にかぶせてある。
下にあるパンは完全におおいつくされている)
トマト
クレソン
フライド・ポテト
ピクルス
オリーヴ
ビール(アムステル)
ペパミントの錠剤
(純度の高いペパミント・オイルにコーン・シロップや
グリセリン、砂糖などを加え、純白の錠剤にしたもの
甘さはおさえてあり、強いミントの香りがする)

ビートルズの曲のインストルメンタル
(ジョージ・マーティンがプロデュースしたインストルメンタル)
エリナ・リグビー
ア・デイ・イン・ザ・ライフ
追憶
ヘイ・ジュード
アビー・ロード

----------『彼をもっとよく知りたい』

木村祥吾
山根美也子

コーヒー

淡いクリーム色の左ハンドルのフルタイム4WDのクーペ

----------『灰皿からスタートする愛』


平井(小島)美知子
三田村恵(ケイ)

西ドイツ製のクーペ
V6のステーション・ワゴン
ベンツ

コーヒー
角砂糖
スタリチナーヤ

カールトンのメンソール
ジタン

ダンス用の甘いジャズ

----------『追伸・愛してます』

井上和雄
仁科百合子

ボーイング767

ブラック・コーヒー
ヨーグルト
ルーム・サーヴィスで朝のコーヒー

----------『愛なんかこめない』

白井名美子
野村

フルタイム4WDのクーペ

コーヒー
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by space_tsuu | 2004-05-18 00:00 | 赤い背表紙(短編)
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