ボーイフレンドジャケット

「ある日、ボーイフレンドが着ていたジャケット。気にいったので私が着てみた。それ以来、私のもの、ボーイフレンドジャケット。
私と彼は物語に巻きこまれた。結末は誰にもわからない。ふたりで起、承、転、結を体験します。この著者だけに書ける、知的にひねった、ほろ苦い、くやしいほどさっぱり、短編のような長編。」
扉の文章だ。

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読み終えると、まさにくやしいほどさっぱりとしたふたりだ。
最後のページに、三枚の写真を見ながら、「私たちのストーリーは、そこからはじまったのよ」「発端だね」「よく見ておいて」という台詞がある。そして、そのあと、主人公の女性がステーション・ワゴンを発進させるところで終わる。
ここから始まるであろうという場面で終わるストーリー。
素晴らしい。想像は無限に広がる。
この時、主人公の男性が着ていたジャケットは、さまざまな色を複雑に織りこんだ絹のジャケットだ。彼は彼女に似合うのではないかと思いながらはおって家を出た。そして、彼女は彼はそのジャケットを気に入り、記念日の証としてくださいと言う。そして彼はそれを彼女にあげる。

ふと私だったら、どんなジャケットを素敵だとほめるだろうかと思った。きっと、ライダースジャケットか、フライトジャケットだろうなと思った。





一章 見合いを半分だけする

尾崎冬彦
菅原(姉の母親の弟)
佐々木律子

スエーデン製のステーション・ワゴン

コーヒー
紅茶

二章 姉と夕食。そして朝食も

北沢夢子

ハーブ・ティー
ソーセージ

お米
サラダ
コーヒー

三章 私たち四人

『未来』というタイトルがついた女性の銅像
『可能性』というタイトルがついた男性の銅像


四章 短編を書いた四日間

日高啓子
寺田四郎
松本江美子
松本恵美子


五章 編集者に会う予定

伊東三枝子
夏子

コーヒー
アイスド・ティー(丈の高い円柱状のグラスにたっぷり。細かく砕いた氷のあいだにミントの葉があった)
アール・グレイ
刺身
そうめん
冷や奴
シャーベット
缶詰のスープ
ドライ・シェリー


六章 真珠の雨

濃いコーヒーをドゥミタスで二杯

ボディ・サイズの大きい、黒い乗用車


七章 水平線を見に来た

杉本美和子
双子の兄弟

八章 短編になるかしら

ふたりの男女
高村淳子

ドゥミタスのコーヒー
ミネラル・ウォーター
苺(徹底的につぶしてから砂糖とミルクをかける)
ヴァニラ・アイスクリーム(つぶして溶かしてスプーンですくって食べる)
餃子(薄い皮をつついて破り、ほぐしてしまって中身を出す。醤油と酢、それにラー油をかけて、箸でひとしきりかきまぜる。
そして皮といっしょに、こまかく砕いて、スープのれんげで食べる)
あんみつ(徹底的にかきまぜる)
スパゲティ(ナイフをカチカチ言わせて、スパゲティを切る。二センチから三センチの長さに、徹底的にきりそろえる)
お茶漬け(ご飯を茶碗によそって、その上に海苔を一枚もんでかけてくれればそれでいい。醤油をかけて、熱くて渋めのお茶を、これはたっぷりとかける)


九章 温泉へいく途中で

吉野奈津子
三宅哲郎

コーヒー
ミネラル・ウォーター
柔らかくて甘味のある蟹の肉を、食べられる紙で包んで揚げたもの
生牡蠣(バジリコとうにのふたとおりのソース。細かく刻んだトマトやセロリの新芽などが、手を加えて味をつけた適量のあさりとともに添えてあった)
フォアグラのソテー(皿の中央に絶妙な容積のフォアグラが置いてあり、皿の外周には三日月に切ったオレンジが三個。フォアグラを中心にして、オレンジ・リキュールと赤ワインを使ったソースが、オレンジの三日月をとりこみつつ、思いきりよくかけてあった)
海の幸、と総称する海産物を何種類か適正に取り合わせ、きゃべつで包んでオーヴンで焼いたものに、キャヴィアのソースが添えてあった。細かく刻んだトマトその他、そしてそら豆が、つけあわせとして皿の外周に配置してあった)
ジャスミン茶のシャーベット
フィレ肉の網焼き(カレーの味をつけた衣で包んで揚げた椎茸、そして薄くスライスしたじゃがいもを二度揚げしてふくらませたものが、つけ合わせ)
デザート
エスプレッソ
缶ビール

真珠のような色のマーシディーズのオープン
ステーション・ワゴン

十章 ボーイフレンド・ジャケット

工務店の責任者
尾崎冬彦
奥田律子

スープ
コーヒー

ステーション・ワゴン
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by space_tsuu | 2008-05-16 00:00 | 赤い背表紙(長編)
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