いつか見た夢

「君は少年のようだ」と彼は言った。
「外見はどこからどう見ても女性そのものだ。しかし、心の状態はまさに少年だ。少年そのものと言ってもいい」
「だから髪を長くしてるのよ。ショートにしたら、あからさまに自分をさらけ出しているみたいできまりが悪いわ」
「君は、他の女性たちとはどこか別のところを歩いている。それがいいとか悪いとかではなく」

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彼女はほんのり微笑を浮かべながら、だまって海を見つめていた。彼らのななめ後ではまっすぐ一列に並んだ風力発電機がゆっくりとプロペラをまわしていた。
「空がもっと青かったらよかったのに。残念だわ」
「また来ればいい。オートバイで来てみるのも悪くない」
「夕陽の時間なら、もっといいわね」

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彼らと少し離れた場所に、黒い犬を連れて浜辺を散歩している人がいた。おなじ浜辺に立っているにもかかわらず、その光景はなぜか別の場所にいる人たちをながめているように思えた。
はっきりとした雲の形を確認できないくらい空全体が白く広がる中にいるからだろうか。
それとも、先日見たキリコの本のせいだろうか、それはまるでキリコの絵の中に入り込んでしまったかのような、あるいはいつか見た夢の中にいるようだと彼女は思った。

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by space_tsuu | 2008-10-08 00:00 | 私の心とその周辺
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