ブルーの中に浮かぶうろこ雲

コンビニエンスストアから出てきた彼女は、まっすぐに自分のオートバイに向かって歩いた。手に持っている袋をサドルバッグに入れていると、ひとりの初老の男性が彼女に声をかけてきた。
「何cc? 250? 400?」
「800 くらいです」と、彼女は答えた。

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「お、すごいじゃない。ちゃんと乗れる? 俺もオートバイの免許は持ってるんだよ。これから、寒くなるからそんなに乗れなくなるね。雪マークもそろそろ出ていたしね」と、その男性はオートバイのシートをなでまわしながら言った。
彼女がオートバイの後をまわり左側へ向かうと、その男性はオートバイから少し離れた。
彼女はオートバイにまたがり、グローブをはめ、ヘルメットをかぶった。
「これは何ていうバイク?」という質問に、彼女はオートバイの車種を答え、エンジンをかけ、その男性に軽く一礼し、駐車場をあとにした。
仕事場が入っているマンションに着き、オートバイから降り、ガレージに入れようとした時に、彼女はタンクに映るマンションを発見した。
サイドスタンドをたて、リュックからカメラを取り出し、その様子を何枚か写真に撮ってみた。すると青空の中に白いうろこ雲が盛大に広がっていることに気づき、彼女は思わず空を見上げた。
うろこ雲の広がりと同調するかのように、彼女の顔にも同じように笑顔が広がっていった。

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そしてその時、知り合いのブログで読んだ言葉を思い出した。
「voir tout en bleu」
すべてを青く見る、ものごとを楽観的に考えるという意味なのだそうだ。
自分の気持ちのすみずみにまで、そのブルーがしみ込んでいくような心地よい錯覚を彼女は楽しんだ。

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by space_tsuu | 2008-11-15 00:00 | 私の心とその周辺
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