カテゴリ:白い背表紙( 1 )

エンドマークから始まる

かつて角川文庫から出版された中から、テーマを決めて選びだしたものを、新たにまとめたもののようだ。白い背表紙の中に太陽が輝いているような赤い丸がワンポイントになっている。
このところ毎日の雪と灰色の空ばかりながめているので、今年初めての更新には、「恋愛短編セレクション 夏」を選んでみた。真夏の青空を心の中に蘇らせたいと思ったからだ。

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「誰もが人生のいくつかの局面で決断を迫られるときがある。そんな時、曇りのない、真摯な心で、自分の気持ちに向き合うことができるだろうか・・・・・・。
片岡義男が描く女たちは、純粋で、まっすぐで、嘘がない。人生のせつなさも、さびしさも、自分自身で精一杯抱きしめて、弱音を吐かずに生きていく、クールで優しい女たち。誰のものでもない、自分の人生を生きたいと切望する人々に、静かな勇気を与えてくれる七つの短編。」

これは裏表紙に書かれた文章だ。

そして、片岡さん自身によるあとがきには、ストーリーとは、みずからに託された論理に沿って、終始一貫したかたちと内容で、主人公たちがなんらかの魅力的な身体性を、次々に発揮していくことであり、読者はそれを読んで、自分の側における実感を拠点にして、共感していくことだとある。
片岡さんは、小説を書くにあたって、現実感というものを必要としてはいないので、現実はなぞらず、リアリティとも無縁であり、たとえば理想的な状態や状況といったものを、けっして描かないと書いてある。理想とは現実の変種のひとつでしかないとも書いている。

そして、現実を生きる私は片岡さんのストーリーを読むことによって、共感だけではなく、理想のあり方をも模索しているのだ。それは、私の中で、いかに共感できる実感を増やしていけるかという行為につながるのだと思っている。

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by space_tsuu | 2006-01-10 00:00 | 白い背表紙