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一日じゅう空を見ていた

片岡さんの小説の中で最も好きな小説のひとつがこの一冊だ。
タイトルの「一日じゅう空を見ていた」というのも、とても気に入っている。

屋根のない2シーターを手にいれた彼女が、自分の誕生日のお祝として、彼に朝から夕方までその車を運転してもらって、自分は助手席をフル・リクライニングにして空を見ていたいと提案する。
彼は彼女のために喜んでその提案をひきうけるというストーリーだ。

実際に車で走りながら横になってずっと空を見ていれば酔ってしまいそうだけれど、一日じゅう空を見ていた経験は何度かある。
また、そのうち実行したいなと思っているけれど、いつになるかな。

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大谷勲さんの写真が幕間のように彩りを添えている。
ホテルの部屋の写真や夕焼け、海と椰子の木と車、真直ぐに目の前に伸びている道路、白い雲。
私もこういう写真を撮りたいと思って写真を撮り始めた。

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あとがきを抜粋してみた。
「生理的なちがいとして、男と女のふたとおりがいるわけですが、女性も男性も、ほんとうの意味で自己をまっとうしていれば、最終的にはすくなくとも内面の世界では男も女もなくて、まるっきり対等にいっしょだと、ぼくは思うのです。」
「生理的なちがいは残りますから、その点では男と女なのですけど、気持ちとか心とか頭のなかは、男も女もない、共通の楽しい世界だと思います。男も女もほんとうに素敵になれれば、内面的には両性具有だ、というのがぼくの理想です。」

私の理想でもあります。

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by space_tsuu | 2004-04-15 00:00 | 赤い背表紙(短編)

波乗りの島 - ブルー・パシフィック・ストーリーズ -

片岡さんが作家としてデビューした作品が、この小説の一番最初にある「白い波の荒野へ」だ。

佐藤秀明さんという写真家が撮ったワイプアウトしているサーファーやサンセット・ビーチなどの写真も載っている。
あとがきは、二人の対談になっていて、佐藤さんが写真の撮影で北海道に行ってヒグマをしとめた話や、キツネは利口だという話が楽しい。
たとえば、キツネにカップ・ヌードルをあげようとしてテントの近くに置いておくと、いつのまにか持っていって中身をきれいに食べると容器を返しにくるといった話しだ。
不思議だ(笑)

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私がサーフィンというものを知ったのも、この小説だったかもしれない。
私はサーフィンはやらなかったが、私の人生のパートナーが昔ロングボードに乗っていた。
白と水色のストライプのボードに確か黒い文字でサーフィンのチーム名が斜めに書いてあったような気がする。

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by space_tsuu | 2004-04-13 00:00 | 赤い背表紙(短編)

今日は口数がすくない

「今日は口数がすくない」では主人公の彼は三人の女性の深酔いにつきあった。
この三人とは別に、一番最後に彼のお姉さんが登場する。
彼女はものすごく美人で読書が大好きだ。
大型二輪の免許もすんなりと取得した。いろんな意味で弟は姉に頭があがらない。
この姉も男を相手に深酔いすることがあるのだろうかと弟は思う。
飲ませればいくらでも平気で飲むという話しを人づてに聞いた覚えがあったりする。
これはきっと骨格のせいで、たいていのことをすんなりとこなしてしまえるのは、この骨格のせいだと彼は主張していたりする。

片岡さんの小説には、時々、このように「骨格」の良し悪しについて出て来たりする。
そのたびに、私は自分の全身の骨格をレントゲン写真で見てみたいと思う衝動にかられる。
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by space_tsuu | 2004-04-10 00:00 | 赤い背表紙(短編)

ラジオが泣いた夜

「白い町」というストーリーは、トニーとベリンダという一組のカップルの話しだ。
ちょっとしたいさかいと言い争いを何日か前にしたのだが、二人は週末に会うことにした。
その時に着ていくドレスを彼女は新しく買った。そのドレスは「白」だ。
ベリンダの髪はプラチナ・ブロンドに近いごく淡い金髪で、いつも艶を放っている。
トニーと会う時のために白のショーツも買った。
だが、トニーは白のドレスは着てくるなと言う。そのドレスを着てくるなら、せめて赤い口紅をつけてこいと言う。なぜなら白すぎるから。

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白い建物をバックに真っ白なバスが白い広場にとまっている。
その場所が彼と彼女の待ち合わせ場所だ。

この後のストーリーを再び読み返していたら、松田優作の殉職のシーンをふと思い出した。
彼も確か全身真っ白なスーツ姿だったのではなかったか?

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by space_tsuu | 2004-04-08 00:00 | 赤い背表紙(短編)

微笑の育てかた

片岡さんにとって、このような短いストーリーとはなにかというと、登場人物がなにごとかを体験し、そのことによって体験前とはいかにささやかであっても彼あるいは彼女が、とりかえしのつかない決定的な変化をくぐりぬけている様子を書いたものだとあとがきに書いてある。
さらに、登場人物にとっては自分がなんらかの変化をこうむる体験であり、読む読者にとってはカタルシスであるようなひとつの出来事が書けたなら、それはストーリーになっているはずだと思うと続いている。

現実の私は精神的に抑圧されている状況にはないけれど、片岡さんのストーリーを読んで自分が体験したことがない状況を疑似体験し、その中で浄化されていくのを感じる。
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by space_tsuu | 2004-04-06 00:00 | 赤い背表紙(短編)