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人生は野菜スープ

人間は肉体という枷をもった神である。というワンセンテンスから始まる解説は角川春樹氏だ。
しめくくりの部分で気になったところを抜粋してみた。

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「片岡義男の描く小説世界は、アメリカの田舎であれ、都会の風俗であれ、温かい共感と醒めた眼で描き続けられ来た。それは、あたかも、画家が淡々と風景をスケッチする態度にひどく似通っている。彼にとって活字は、まるで絵のような存在だった。
片岡義男の小説に登場する主人公達は、人間のもつ本質的な重い枷に喘いでいるのではなく、いわば風みたいになんとなく生きている、ごく一般的なマジョリティである。
「人生は野菜スープ」に登場する娼婦やストリッパー、或いはミュージシャンといった人々も、都会でしか生きられない、だからこそさみしさを、温かさをわけ合うことのできる孤独な男と女達なのだ。」

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前にも書いたが、片岡さんの小説を読んでいると、文章が映像としてどんどん目の前に現われるという意味が、ここでも説明がつく。
片岡さんの文章は絵そのものなのだ。

この「人生は野菜スープ」は1980年に書かれたもので、その時代の歌舞伎町の娼婦や銀座のホステス達がジャズや演歌とともに登場する。
あれから24年もたっていて、街並や行き交う人々の容姿は変わっても、この小説に登場する人物たちのように、さらりとなにげなく生きている人たちは、きっとどこかにいるはずだ。
なにより、私自身が、風のように生きていきたいと思っているから。
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by space_tsuu | 2004-06-27 00:00 | 赤い背表紙(短編)