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理想的なあり方

片岡さんは以前、先見日記で「理想的なありかた」についてこう書いていた。

「理想的なありかた、というものについて考えてみる。生きかたでも人生でもなく、ありかただ。日々あることは生きかたかもしれないし、その連続は人生になったりするかもしれないけれど、ここではそのいずれでもなく、ただありかただ。しかも理想的な。

 ひとりでありたい、とまず思う。独身ですか、と人は言うだろう。結婚しないとかじつは別れたとか、そういったことではなく、かといって天涯孤独のようなことでもなく、なんの意味づけもなしに、どこの誰ともつながることのない、純粋なひとりだ。毎日がひとり。それがまず第一の基準だ。ひとりである以外にどんなありかたがあるのか、というような意味におけるひとりだ。」

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私もこれと似たようなことを思う。
私もひとりでありたい。
他人を否定するという意味ではなく、他人と過ごす時間が嫌いだという意味でもない。
他人に依存せず、安易に頼ったり見返りを求めたりしない「ひとり」だ。
「やむをえずひとり」ではなく「あえてひとり」を楽しめるという言い方でもいい。
これは今に始まったことではなく、子供の頃からそうだった。
片岡さんの小説に出てくる女性たちも、そういった女性が多い。
だからこそ、彼女たちに共感を持ち、彼女たちの考え方や行動に興味を持つのだろうと思う。 

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by space_tsuu | 2004-07-28 00:00 | 私の心とその周辺

オートバイとオープンカー

オートバイに乗ることは人生に似ていると思う。

これから進んでいく前方の先へ先へと視線を送りながら障害を予想し、
カーブに合わせて減速したり加速したりしながら進むと滑らかな運転ができる。
すぐ目の前の路面なんかを見て走ったりすると、たちまちそのスピード感に
恐怖を覚え、バランスをくずしてしまうかもしれない。
人生についても似たようなことが言えると思う。
自分のこれから進もうとする未来に焦点を置き、明確な目標を持ち、
困難を予想しながら進んでいけば何か事が起こった時にもあわてることはないし、
なによりしっかりと目標が決まっているのだから、それに向かって突き進んで
いけばいいだけのことだ。
目先のことばかりにとらわれていると、オートバイの運転と同様バランスを
くずし転倒さえしてしまうかもしれない。

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人生が運転と同じだと言うなら車でも同じことではないかと言う人がいるかも
しれないが、私は違うと思う。
オートバイは風雨にさらされることもあるし、夏の暑い日ざしや空気の匂い、
路面からのフィードバックを体感できる。
常にバランスを保ちながら運転しなければならない。

それなら、自転車はどうかというと、確かに自転車でもいいと思う。
ゆっくりと自分のペースで漕ぎ、時折道ばたに咲いている花を眺めながら、
ゆるやかな風に吹かれ進んでいく。
それはそれでいい人生だと思う。

でも、私にとって何かが決定的に足りない。
私はオートバイのエンジン音が好きなのだ。
暴走族がブンブンいわせている音ではない。
あれは「エンジン音」とは言わない。ただの「騒音」だ。

馬の走るような音、もしくは心臓の鼓動のような音を聞きながら走っていると、
私は一人で走っているような気がしない。
さらに、寒い日にエンジンの熱くなった部分に凍えた手を当てると、
オートバイに暖めてもらっているような感じがして嬉しくなる。
だから私にとっては自転車ではなくオートバイなのだ。
人生も一人で生きるわけではないのだし。

では車はというと、車はよほど危険な運転をしない限り転倒することはないし、
暖房やクーラーをかけて快適に進むのでは、生温いレールの上を目標もなく
ダラダラと進む人生に似ている。
オートバイとは雲泥の差だ。

片岡さんは何かのエッセイで、車の前面ガラスを、まるでテレビを見ているよう
だと書いていた。
さらに車内のティッシュケースやこまごまと雑然とした小物を見ると日常の空間
ごと移動しているようだとも書いてあった。
私は車に乗るたびに、そのことを思い出す。
だから、車に乗るなら、せめて夏は幌を開けられるオープンカーにしようと思い、
今の車を選んだ。

だからといって、車が嫌いなわけではなく、私の人生をたとえるなら車ではなく
オートバイだろうなと思っただけだ。

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by space_tsuu | 2004-07-11 00:00 | 私の心とその周辺

ホテルという異次元空間

片岡さんの小説には時折ホテルの部屋の描写が出てくる。
部屋の天井、ベッド、カーテン、フロアライトなどの写真が
表紙やストーリーの間に添えられていることも多い。
このようなホテルの空間の描写や写真に触発された私は、すっかり
その虜になってしまった。
日常の雑多な出来事がつまった部屋と反して、ホテルの一室に入り込むと、
機能的で端正にまとまった空間がそこにある。
ルームナンバーが表示されているそのドアは、日常と日常に反するものを
さりげなく隔てているゲートだ。
中の空間はまるで使ってくれる人を静かに待っているかのようだ。
さりげなく色彩が統一された様子も好ましい。

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私はホテルに泊まる時は必ず、部屋に入るとすぐに様々な場所を
写真に撮り始める。
使ってしまう前の状態を思う存分カメラにおさめてからでないと
ゆっくりソファに座ることができない。
その部屋でくつろぐ前の自分はまだその時点では、ベッドやソファ
などの備品と一体化しているはずだ。
そうしてひととおり満足がゆくまでシャッターを押してようやく
部屋の中にいるもうひとりの意識を持った自分と体面すると同時に
今度は日常とはかけ離れた次元へと迷いこんでいく。

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by space_tsuu | 2004-07-09 12:44 | 私の心とその周辺