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最愛のダークブルー

あとがきを読むと、片岡さんのブラックなユーモアが顔をのぞかせていた。
『私のなかの三つの夏』は、完全に年増のストーリーなのだそうだ。年増と言って悪ければ、たとえば身のまわりの人間関係のなかでどんなことが起こっても、動じたりせずに自分なりのクールな対応をすることのできる人たちなのだと言いかえている。

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この五つの短編小説の中では、この本のタイトルにもなっているように、本人は『最愛のダーク・ブルー』が一番気に入っているそうだ。姉にいちばんよく似合うのは、きれいなダーク・ブルーだとしめくくっているが、他にもいくつか似たようなストーリーがあったように思う。今度、ちょっと探してみようかと思っている。
片岡さんの書く文章には、ブルーがよく出てくるが、本人の好きな色なのだろうか。ブルーが好きだという人は世の中にたくさんいると思うが、私もそのひとりだ。
空の青、海の青。暮れゆく青。夜明けの蒼。青、蒼、碧。ひとくちに青といっても、その色の幅は無限だ。綺麗だと思う反面、恐怖心を生む色でもあるし、心情的に使われる場合は、憂鬱な気持ちを表す不思議な色だ。そして、私たちは、その青い星の上に立って暮らし、青い宇宙を眺める。

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by space_tsuu | 2006-06-14 00:00 | オレンジの背表紙

すべては自分次第

6月第2週  

突然降り出した雨

バケツをひっくり返したようなどしゃ降り

バケツの大きさを想像して苦笑い

白熱灯の明かりと幸福の木

かすかな不安が一瞬心を横切る

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ピアノトリオの曲が流れている

Reborn

雨の音は消えた

明るい光が窓ガラスから射しこむ

熱いブラックコーヒーが飲みたくなった

壁にかけてあるドリーム・キャッチャー

BGMはいつしかペトルチアーニのピアノの音

すべては自分次第

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by space_tsuu | 2006-06-12 00:00 | 私の心とその周辺

Ten Years After

片岡さんの小説には、時々マンションなどの間取りが詳しくわかるような描写が出てくる。たとえば次のような感じだ。

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『ロックを解放し、ドアを開いた。なかに入った。明かりがひとつも灯っていず、なかは暗かった。
ドアを閉じ、靴を脱いだ。うえにあがり、壁のライトスイッチをオンにした。玄関口の明かりが灯った。
みじかい廊下が、玄関口から直角に奥にむけて折れ曲がっている。ダイニング・キチンのドアと洗面・浴室のドアとが斜めにむきあっている廊下のつき当たりに、ドアがふたつならんでいる。
右のドアは寝室、左のドアは居間だ。彼は、居間に入った。明かりをつけた。
十二畳のスペースのなかに、本棚を中心にした収納棚、オーディオ装置、小さなライティング・デスク、作業用の横に長い机、それにカンヴァスのデッキ・チェアなどが、要領よく配置してあった。』

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私はこういう描写がとても好きだ。読みながら、その空間の中を歩いているような気持ちになる。部屋の香りや光の加減、壁紙やドアの形、床を歩く感触までを想像の中に楽しむ。想像の中の部屋は、まるでホテルの空間のように思える。日常生活にあるようなごちゃごちゃとしたものは一切なく、何も散らかっていない。そのような空間で生活したいと思うが、現実では、なかなかそうはいかない。
だから、時おり、ホテルに泊まって、小説の中の空間を現実の空間と交差させて遊んでみる。
次にホテルに泊まる時は、最後の解説に出てくるチョコバーでも買って、ひとりホテルの一室でチョコバーの甘さにひたってみようかと、思いついた。

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by space_tsuu | 2006-06-06 00:00 | 赤い背表紙(中編)