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最愛の人たち

ウィリアム・モリスの繊細で優しい色合いの美しい表紙の本だ。
あとがきに、片岡さんは二十五才の頃に、それまでたまっていた写真をすべて捨ててしまったと書いてある。過去が自分のうしろに何枚もの写真によって蓄積されていくことに気づいて、その過去をいっきに捨てたのだそうだ。
私も今となってはなぜその時そうしたのかを覚えていないが、ネガをすべて捨ててしまったことがある。プリントにした写真だけは今も残っている。
その頃はデジカメなんて持っていなかったので、写真屋さんに現像してもらっていた。
できあがってくるのを楽しみにしていて、そしてプリントされた写真を見て一喜一憂していた自分をなつかしく思う。

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今はデジカメだけで撮っているのでネガはないのだということに今さらながら気づく。
データをどこかに保存しておかなければ、撮った写真は二度と見ることはできなくなる。
デジカメで撮った写真は、いつでも見ようと思えばパソコン上で見ることができるし、プリントアウトしなければ、気持ちの変化とともに見るたびに違った印象を受けることはあるかもしれないが、時間の経過とともに味が出てくるということもない。
形のある過去がどんどんたまっていく写真と違って、くっきりとした幻の断片がたまっていく。
その幻たちを他の人たちが何かしらの状況で見ることがあるなら、その人たちの記憶の中にどんなふうな形に姿を変えて断片たちは語りかけては消えていくのだろうか。

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by space_tsuu | 2009-08-11 00:00 | 青い背表紙