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美しいひとたち

この本は、あからさまな性的な描写よりも、読む側がそれぞれの想像力を駆使して映像化して読んでいくほうが、はるかに艶かしいということを教えてくれる一冊かもしれない。

『夢の終わるべきかたち』の中のパラグラフが印象的なので、少し抜粋してみることにする。

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「夢というものは、実現しないものなのです。夢は、ただ消えてゆくだけのために、存在します。誰もが夢を持ちますが、人生のなかばには、ほとんどの夢は消えています。」

「夢は消失しても、男性たちは生きてゆきます。しかし、人は現実のなかを生きるのではありません。自分で物語を作り、そのなかを生きてゆきます。現実は自分とはなんの関係もなしに起こってくる、それぞれにまったく無関係な出来事の、荒涼たるちらばりです。このような現実を、自分を中心にして組み換え、作り変えたものが、物語です。」

「夢が消えたあとを、物語が引き受けます。そして、物語を作るにあたって、もっとも強力なきっかけとなるのは、いつもきまって若い女性の体です。」

ひとつひとつの物語は違っても、これは、普遍の原理なのだ。

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by space_tsuu | 2010-04-08 00:00 | 淡いオレンジの背表紙

ぼくはプレスリーが大好き

『誰のためでもなく、なんのためにでもなく、本能としか言いようのない衝動だけを指標に、自分のために自分でひとりぼくはメモをとった。その結果がこの本だ。
メモをとりたくなったきっかけは、やはり、かつてのエルヴィス・プレスリーによる天啓にちがいない。あの天啓以来、あるときは一瞬のうちに、あるときはながい時間をかけてすこしずつ、ぼくが体で感じとってきたものの集積が、ある一定の限度をこえたとき、ぼくは、その集積に関してメモをとろうと考えた。』

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『個人的なメモでさえ、ぼく自身にとっては、書きおわったとたんにご用ずみだが、とにかくなにごとにせよ描くためには、ぼくは、自分が経過していく時代のすべてを、自分のための材料なり足場なり指標になりとして、必要とした。』

『面白くない本は、その面白くなさの追求が、有益だった。』

『結局、ぼくが選択したものは、ブルースだった。決定的な選択によって、ブルースが自分のなかにもあることを知った。ロックンロールは、あるときあるところであるる人にとって一種の臨時的な価値をしか持たず、誰の内部にもありうるブルースは、より普遍に近い。ふたつをくらべるとき、ひとつは馬鹿ばかしく、もうひとつは馬鹿ばかしくない。』

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あとがきからいくつか抜粋してみた。
私が個人的に片岡さんの本についてのメモのようなブログを書いているのとは雲泥の差だが、ブログというツールを使って何かを書いていこうとひらめいたその衝動は、まさに同じだ。
書きおわっても、くしゃくしゃにして捨てるメモではないメモ。
時々自分のために読み直してみたりすると、その時の自分がこんなことを書いていたのかと不思議な感覚を味わえるメモ。
自分という小さな時間の経過が刻まれているメモといってもいいかもしれない。
書きたい時に書くだけだから、ストレスもない。
片岡さんの本から濾過された自分の断片を、ふとした時に、これからもメモしていこう。

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by space_tsuu | 2010-04-02 00:00 | 赤い背表紙(エッセイ)