<   2010年 07月 ( 1 )   > この月の画像一覧

白いヘルメットのアメリカ国歌

もうすぐガソリンがなくなることを知らせるオレンジ色の小さなライトが点灯してから、すでに20キロは走っている。暑い陽射しの中、漁港のある街の中へ大きく右にカーブしつつ入った。
ウニ丼と書かれた旗がひらひらと風にはためいている店を何軒かやりすごすと、右前方にガス・ステーションの看板を発見した。
左側には何艘もの漁船が停泊しているのが見えた。
ガス・ステーションに入る前にウインカーを点滅させ、いったん停止し対向車を一台やりすごした。
彼女は徐行しながら給油のためのスペースに入り、自動車をその日陰の中にとめた。
かっぷくのいい中年の女性がオフィスから出て来て言った。
「こんな日はオープンカーだと気持ちいいでしょう」
「そうですね」とだけ答えて彼女は微笑した。

b0127073_16142035.jpg


給油をしている間、次に向かう行き先までの道筋を確認するために、かたわらに置いてあったロードマップを開いた。
給油を終える頃、何台かのオートバイの音がガス・ステーションに入ってくる音が聞こえた。
いつもなら、オートバイの音が聞こえてきたなら、チラリとでもそちらのほうを見てみるのだが、この時はロードマップから目を離さずにいた。
給油を終えた女性にクレジット・カードを渡し、サインをして領収書を受けとり、財布にそれを戻した。
エンジンを始動させ、おだやかに道路に向けオープンカーを発進させつつ、オートバイの彼らのほうをちらりと見た。
ちょうどオートバイのひとりがヘルメットを両手で上のほうに引き上げ、頭からヘルメットをはずし、何か大声で歌い出したところだった。
彼の髪はブロンズ色だった。
歌っている歌はアメリカ合衆国の国歌だということを彼女はその時同時に気づいた。
三人のライダーのうち二人は外国人で一人は日本人の女性だった。
道路はどちらからも自動車は走ってこなかった。
彼女は暑い陽射しの中にふたたび出ていった。


---------------------------------------------------------------------------------------------------
[PR]
by space_tsuu | 2010-07-23 00:00 | 私の心とその周辺