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コーヒーもう一杯

『コーヒーをもう一杯のむ時間は、とても不思議な時間だと思いませんか? なぜ、もう一杯なのでしょう。みじかくて五分ながくて三十分くらいのその時間のなかで、しかし、いろんなことを語りうるのです。もう一杯は、さしむかいで、語り合いつつ飲むといいようです。この本とのさしむかいでも、素敵だと思います。』と、扉の文章に書かれている。
このブログにその文章をタイプしていたら、インターネットラジオからDiana Krall という人が歌う「Some other time」という曲が流れ始めた。
ちょうどこの「コーヒーもう一杯」という本のBGMに合っているなぁと思いながら外を見ると、雨の日の午後の時間がゆるやかに過ぎていく。

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パラパラとページをめくりながら、目についたものをざっと書きとめてみると、アメリカ人の友人の漢字の覚え方、車のミラーステーにささっていたまっ赤なリンゴの話、瀬戸内海の小さな島で感じる宇宙感、太平洋の海底地図、ペーパーバッグの英英辞書、ガス・ステーションでのショート・ストーリー、ジャズ・ピアノのLP、アメリカでの教育のあり方について、失われつつあるハワイについて、などなど多種多様にわたる興味深い内容が満載だ。
これはコーヒー一杯だけでは足りないではないかと思いながら、コーヒーを入れるために立ちあがると、曲がStan Getz & Kenny Barron の「Like someone in love」に変わったので、すぐに曲名をメモした。
食べる物で人の身体ができているとすれば、私の思考回路はおそらく少なからずは、片岡さんの本を読むことや、そこから派生したものでできあがっているはずだ。
そして私の「コーヒーもう一杯」は、もちろんブラックコーヒーだ。

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by space_tsuu | 2012-03-30 00:00 | 赤い背表紙(エッセイ)

恋愛小説

あとがきにこうある。
「この短編集には、六編のストーリーが収録してある。はじめの予定では、七編になるはずだった。しかし、七編めのストーリーを、この本に間に合うように、僕は書くことができなかった。そのストーリーは、僕の頭のなかでは、すでにほとんど出来あがっている。
(中略)
そのストーリーには、男女ふたりと、二台のオートバイが登場する。」
ここで、ふと、時々読んでいるM-BASEさんに連載している「小説とオートバイ」という片岡さんのストーリーを思い出した。

M-BASE 「小説とオートバイ」

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ここでは、ふたりの女性と二台のハーレーについてのストーリーの構想について書かれている。
男女であれ、女性ふたりであれ、なにかしら片岡さんの頭のなかには二台のオートバイについてのストーリーの片鱗がたくさんあるようだ。
これからいつか書かれるであろうそのストーリーたちのアイディアを読んでいるだけでも、それはそれでひとつのストーリーとして充分に楽しめる。完成したひとつのストーリーを読むよりも、さまざまなアイディアを読むことは、もしかしたら、読む人のその時々の状況や心理状態などで、無限にストーリーは広がって行く。
もし自分がオートバイに乗る人ならば、それはさらに奥行きを増していくだろう。
ということで、高原や湖、霧のなかにあるホテル、美術館、そして一杯のコーヒーという頭の中にあるイメージを様々に組み合わせて、自分だけのストーリーの中を走ってみよう。

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by space_tsuu | 2012-03-28 00:00 | 赤い背表紙(短編)