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キス・キス・キス

52人の写真家たちが撮った様々なキスシーンの写真に、各界の有名人たちのひとことが間に添えられている。様々なシーンの中の、さりげなく、それでいてドラマのあるキスの写真を堪能することができる


『KISSは物語です。
KISSの瞬間が物語であると同時に、そこに至るまで、
そしてそれ以後のふたりの物語が、小説を書く人としての僕を、
その物語を書くことへと、そそのかすのです。』

最初のページにある、この片岡さんの文章が助走路になって、そのまま「OとKの微妙な中間」というストーリーとともに、キスという物語の空へ飛び立つ。

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見ていくと、ほとんどの写真がモノクロだ。モノクロであることが、余計にそのキスシーンの背景についての想像力をかきたてられるような気がする。キスは物語なのだから、見る人それぞれが自分と写真との間に自由に空想をふくらませたほうが、より物語の幅が広がる。
この本の中のモノクロのキスシーンの写真を見ていると、その物語の背景を想像すると同時になぜか懐かしい過去へタイムスリップしていく感覚も味わえる。自分がまだ生まれていなかった時代の、ある日ある時に迷い混んでいくようだ。と同時に、それはまるで、白黒の映画の中に入り込んでしまったような感覚でもある。

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最後は岡部まりさんの文章でしめくくられる。
『キスは、ずっと続けているわけににはいかないところがいい。キスは「ひととき」だからいい。』とある。
ロミオとジュリエットのふたりと、一年のうちほんの十日間しか花を咲かさない桜をだぶらせて、はかないひとときを思ったのだそうだ。
by space_tsuu | 2005-07-25 00:00 | collaboration
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